サンケイスポーツ - 2010/11/18 7:52
アジア大会第6日(17日、中国・広州)テコンドーの“エリカ様”が快挙! テコンドー女子49キロ級の笠原江梨香(20)=大東大=は決勝で北京五輪金メダルの呉静ギョク(23)=中国=に敗れたが、日本女子最高となる銀メダルを獲得。12年ロンドン五輪では世界一に挑む。
ずしりと重いメダルを首にかけ、笠原は大輪の笑顔を咲かせた。
「金メダルを狙っていたので悔しい。でも、応援してくださる方のためにも形として残ったことはうれしいです」
決勝の相手は地元・中国の呉静ギョク。今年5月のアジア選手権決勝でも敗れた因縁の相手に、1ラウンドから右前げりを許すなど1−13の大差で敗れた。それでも銀メダルはアジア大会日本女子史上初。シドニー五輪67キロ級銅の岡本依子さんを上回った。
小学校1年のころ、男の子にからかわれても言い返せなかったおとなしい性格の娘を見かねて、空手をやっていた父・仁さん(38)がその道を教え始めた。からかった男の子は空手をやっていたというから、映画「ベスト・キッド」を地でいくヒロインだ。静岡・伊東高時代には、仁さんがテコンドー専門の道場「虎徹会館」を作り本格的に競技を始めたが、空手とテコンドーに加えキックボクシングやアマチュアボクシングのスパーリング大会にも週末ごとに出場した。
才能を見抜きスカウトした大東大の金井洋監督(98年バンコク大会ライト級銅メダリスト)は「上段へのけりが強い。常に実践に身をおいてきたので場慣れしている」。北京五輪後、頭へのキックが2点から3点に。電子防具に変わりキック力が求められるようになった競技に、さまざまな格闘技の経験が生きた。
得意技は父譲りの「左の上段げり」。大東大では男子選手と練習している強者だが、そのルックスから初対面の相手には「本当に強いの?」といぶかしがられるという。
「まだ時間はあるので成長できる。ロンドンにつながるいい大会だったと思う」。強くてかわいい“エリカ様”が、2年後に金色の笑顔を見せる。